おはようございます。
いつもブログ「お坊さんの1分説法」を
お読みいただき、ありがとうございます。
今日は、江戸時代の福岡の高僧
仙厓(せんがい)和尚を紹介します。
紹介といっても、ここでは有名な逸話をひとつ。
仙厓和尚が、88歳で、臨終を迎えようとしている
時の話です。
弟子たちが集まってきます。
「お師匠さま、最後に、我々に何か教えを遺して
くださいませんでしょうか。」
「何かお言葉をいただければ、我々は
師匠の遺言とともに今後、修行に励みます。」
と弟子たちが、高僧の最後のことばを聞きとどけよう
とかたずをのんで見守っています。
すると、仙厓和尚はようやく口を開きます。
「ああ、死にとうない。死にとうない。」
「そ、そんな、天下の名僧が、最後に
死にとうない、だなんて、そんな情けないこと
言わないでください。」
「いや、ほんまに、ほんまに。」
とおっしゃったそうです。
ぜひ、これをどう捉えるか考え、
味わってみてください。
とらえ方は十人いれば十通りあるとおもいますが、
一応、ひとつの解釈を。
これは、仙厓和尚の「慈悲(じひ)」の心だと
いう捉え方が、最もメジャーです。
万人にとって、最も恐ろしいものが「死」。
それをできることなら避けたい、そして遅らせたい、
というのが、多くの人々の思いです。
その共通の苦しみを肯定するために
自らそうおっしゃった、というわけです。
ちなみに私は、いくら修行して、
高僧と呼ばれるようになっても、
人間の煩悩はぬぐい去れるものではない
ということを言っているように感じています。
みなさんはどう感じたでしょうか。