子どもの母親
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
みなさん、おはようございます。
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連日、コロナウイルス関連で
様々な噂が飛び交うこの頃ですが、
こういった時にこそ、
「智慧(ちえ/ものの道理を正しく見極めること)」
を大切にしたいものです。
智慧に関して、今日は、有名な「大岡裁き(大岡越前が
公平で人情味のある裁判をしたといわれることから)」
の一例を書いてみたいと思います。
あるところに一人の子どもがいました。
その子をめぐってなぜか、母親だと名乗る人が二人いました。
「わたしがこの子の母親です」と、どちらも一歩も引きません。
とうとう二人の争いは収まらず、
大岡越前の奉行所に持ち込まれることになりました。
大岡越前は、こう言いました
「その子の腕を一本ずつ持ち、引っ張り合いなさい。
勝った方を母親と認めよう。」
その言葉に従い、二人の母親は子どもを引っ張り合いました。
引っ張られた子どもは、すぐに「痛い」と泣き叫びました。
すると、その声を聞いた片方の母親が手を離してしまいます。
引っ張り合いは終わり、
引っ張りきった方の母親は子どもを堂々と連れて帰ろうとします。
が、大岡越前はこう言いました。
「その子の母親は、手を離したこちらの人だ。」
「本当の親なら、子が痛いと泣き叫ぶことをどうして続けられようか。」
この話は一説には、「ジャータカ」という
お釈迦さまの前世について語られたお経が元になっているそうです。
仏教でいう「智慧」とは、世間一般にいう「おばあちゃんの知恵」
といったものではなく、真理を明らかに見ることである、
と言いますが、
まずはこのご時世、冷静になり正しい情報を見極めること
を大切であろうと思い、今回この話を書かせていただきました。
ご参考になれば幸いです。
2020-04-21 08:00:00
忘己利他
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
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新型コロナウイルスについて。
今日にも、安倍首相が緊急事態宣言を出す見込み
だと言われています。
欧米諸国のような、あらゆる「指示」とは違い、
日本では、多くのことが「要請」となるようです。
なので、国民の皆さん一人一人が、どう捉えどう動くかに
かかっています。
と連日報道をされているところですが、
外出の自粛を、また買い込みを控えて、などとの「要請」に
どう答えるか。
仏教でいうところの「忘己利他(もうこりた)」の精神が
問われているのではないかと思います。
「忘己利他」とは、
己(自分)を忘れ、他(人)を利する、
天台宗を開かれた
伝教大師(でんぎょうだいし)最澄(さいちょう)
のことばであると言われています。
人間、どうしても自分中心になりがちです。
欧米諸国では、自分中心となることを前提として
あらゆる「指示」が行われていますが、
日本人には、忘己利他の精神があるだろうから、
要請にとどまっているのかな、
と(前向きに)考えたりもしてみました。
ともかく皆さま、お気をつけてお過ごしください。
2020-04-07 06:43:54
お彼岸の法要も・・・
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
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昨日でお彼岸の一週間が終わりました。
私のところのお寺でも、政府の方針(今しばらくの間の
集会等の自粛)を受けて、お彼岸法要は寺方のみで
勤めさせていただきました。
異例のことですが、お檀家さんには
お家でお手を合わせていただきました。
お彼岸の法話では例年、六波羅蜜(ろくはらみつ)について
お話させていただいていますので、
ここでも再出ですが書かせていただこうと思います。
布施(ふせ)
持戒(じかい)
忍辱(にんにく)
禅定(ぜんじょう)
精進(しょうじん)
智慧(ちえ)
の6つは、悟りの世界に至るためのパスポート(修行の
方法)だと言われます。
中でも最も行いやすいのが「布施(ふせ)」です。
これも毎回申しますが、「布施」とは、
お坊さんに包む金品のことだけを言うのではありません。
見返りを求めず人に施すこと全てを言います。
物を施す以外にも、「無財の七施(むざいのしちせ)」
というものがあり、いつも紹介させていただいています。
今日は、そのうちの3つを紹介します。
眼施(げんせ)
やさしい眼差しで人に接すること
和顔悦色施(わげんえつじきせ)
にこやかな顔で人に接すること
言辞施(ごんじせ)
やさしい言葉で人に接すること
相手を思いやり、これらの態度で接することは
「布施」にあたります。
日頃から心がけることで
社会生活もうまくいく助けになるでしょうし、
悟りの世界へと向かう修行にもなるのですから
一石二鳥ですね。
お彼岸は終わりましたが、来週から始まる新年度、
世の中大変な状況ではありますが
この3つの「布施」を時々思い出していただければ幸いです。
2020-03-24 07:40:52
1分1秒を大切に
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
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明日は3.11、東日本大震災から丸9年になります。
テレビで見ただけなのですが、
震災を紙芝居で伝えようという取り組みが
現地の高校生などで行われているそうです。
私が見た報道では、
震災を知らない子どもたちに紙芝居をされていました。
紙芝居の詳細な内容はわかりませんが、
紙芝居をされていたお二人は
最後に子どもたちにこう伝えておられました。
「1分1秒を大切にしてください。」
私たちも法事などの場面でよくお伝えすることです。
けれども大震災を経験された子どもたちが成長されて
話される内容だということに
さらに大きな意味があるように思います。
少し短いですが今日は感じたところを書かせていただきました。
震災犠牲者の方のご冥福をお祈りいたします。
2020-03-10 08:00:00
仏教でいう「よいこと」とは
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
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今日はこんなことばを紹介します。
「雑毒の善(ぞうどくのぜん)」
私は専門ではないのですが、浄土真宗を開宗された
親鸞(しんらん)聖人のことばとされています。
「毒」とは煩悩のことです。
仏教では、善行、よいことを勧めますが、
煩悩にまみれた善行では価値がないということです。
人間がよいことをする背景には、煩悩があることが多い
という点を親鸞聖人は指摘されているのだと思います。
上司のためにあることをする。
その裏には気に入られたいという煩悩がある。
友達のためにあることをする。
気が利くな、と思われたいという煩悩がある。
そこまでわかりやすい例でなくても、
人のためにあることをする、と自分では思っていても
「ありがとう」と言われたい、感謝されたい、
自分を評価してほしい、という気持ちは
どうしても生じてしまいがちです。
あることをしたのに、相手が当たり前の顔をしていれば
かえって腹が立つことだってあるでしょう。
腹が立つということは
やはり、見返りを期待しているのです。
本当の「善」とは、見返りを求めない行いであることです。
なかなか自分自身もできないですが、
ぜひ知っておいていただければと思います。
2020-02-25 08:00:00