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「栗」に見える「ウニ」

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
 
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
ありがとうございます。
 
このブログのテーマとしてもよく取り上げさせていただいていますが、
仏教のおしえには、「とらわれるな」、つまり
「先入観をもつな」、「ありのままに見ろ」というものがあります。
 
この前、テレビでこんな放送がありました。
 
水族館の水槽で「ウニ」と書いて「ウニ」を展示しているスペースに、
「栗」を入れておくと、気がつくか?
というものでした。
 
画面を通して見ると、明らかに、「栗」なのですが、

予想に反して?多くの方は、じっと見ても気づかず、
「ウニ」だと思って通り過ぎていました。
 
その中でも少数、気づいた人もいたのですが、
その多くは子どもだったのです。
 
中には、親子連れで水槽を見つめて、
お子さんが「あ、栗だ」と言うと、
お母さんが「ちがうよ、それは栗に見えるけどウニだよ」
と間違った訂正をしているシーンもありました。
 
この場面で言うと、
お子さんは「ありのままに」、「栗」だと見ているのに、
大人は、水族館に「栗」があるはずがないという「先入観」で、
(大人の目にも「栗」に見えているはずなのに、)
頭の中でウニに訂正してしまっていた、ということです。
 
なかなか、おもしろかったですが、
「ありのままに見る」ことの難しさを
あらためて感じさせられた番組でもありました。
2019-03-26 08:00:00

今どきの若い子

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
こんにちは。
 
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
ありがとうございます。
 
昨日、こんなことがありました。
 
出先でお昼ご飯を食べようとお店に入り
注文を済ませて待っていたところ、
 
隣の席に、若いカップルが座りました。
「今どきの若い子」という感じで、
 
髪は茶色から金色、お互い向かい合って座っても
それぞれ携帯をさわっていました。
 
私が食事をはじめてしばらくすると、
その2人の元へも食事が運ばれてきました。
 
すると、その2人は、そろって、手を合わせ
小さな声で「いただきます」と言って
食事をはじめました。
 
私は少し驚いたと同時に、和やかな気分になりました。
同時に、人を見かけで判断してはいけない、
ということも感じました。
 
実は以前にも、同じような場面に遭遇したことがあり、
少し「いかつく」見えるお兄さんが、
手を合わせて「いただきます」と言っているのを見たり、
したことがありますが、
 
見かけで判断する、ということは、
いわゆる「決めつけ」や「レッテルを貼る」ということで、
仏教の説く「ありのままに見る」に反していることになるなあ、
と、気をつけなければいけないなと思わせてくれました。
 
少しとりとめのない話になってしまいましたが、
日常のできごとから、感じたことを書かせていただきました。
 
2019-03-05 12:53:13

三階

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
 
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
ありがとうございます。
 
今日は、『百喩経(ひゃくゆきょう)』
というお経に出てくる、こんな話を紹介します。
 
 
 
あるところに大金持ちがいました。
彼が旅行先で、別の大金持ちから招待をうけ、家を訪ねました。
 
その家に到着すると、彼は腰を抜かして驚きました。
彼は三階に案内されました。
三階から見る景色はとてもすばらしいものでした。
 
実は、彼は「三階」を初めて見たのです。
彼の住んでいる村には高い建物がありませんでした。
二階建ての家すらないのです。
 
彼は、すっかり「三階」が気に入ってしまいました。
 
そこで、帰ると早速、
彼は大工を呼んで「三階」をつくるように命じます。
 
わかりました。では、「三階」をつくりましょう。
 
大工は引き受けましたが、この大工も慎重です。
はじめて建てる三階建てですから、
土台から丁寧に作っていきました。 
 
彼は毎日、工事現場に来て、
「まだか、まだか」と催促します。
 
大工は「まだです」と答えるだけで、作業を続けます。
 
ついにある日、彼はしびれを切らして大工にこう言いました。
 
「いったいいつまでかかるんだ。」
 
「旦那、今土台からやっと一階をつくっているんですよ?
三階なんてまだまだです」
 
「なに、土台から一階をつくっているって?
わしは三階をつくれと言っているんだぞ。
一階なんてつくらなくていい。早く三階をつくれ。」
 
 
 
すこし説教じみた解説になってしまいますが、
 
人はつい、簡単に結果が得られることを願ってしまいます。
しかし、努め励むことなく、ただよい結果だけを求めていては
この金持ちのようになってしまうということですね。
 
2019-02-19 07:35:23

インフルエンザ

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
 
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
ありがとうございます。
 
私ごとですが、先週、久しぶりにインフルエンザに
かかってしまいました。
 
予防接種を受けていたので、
症状はそれほど重くなかったように思いますが、
数日お休みさせていただきました。
 
インフルエンザにかかったとなると、
あ、先週、人混みにマスクをせずに行ったからかな
とか、あの調子悪そうにずっと咳をしていた人からもらったのかな
とか、思ってしまいますね。
 
仏教の根本的な教えに「縁起(えんぎ)」というものがあります。
縁起とは、「縁(よ)って起(お)こる」ということで、
原因があるから結果があるということです。
 
この教えに従い(?)、あれこれと原因を考えてしまうのですが、
いつ、どこからインフルエンザをもらったのかなんて、
いくら考えてもわかりません。
 
そうこうするうちに、
この「縁起」という教えにはもう一つ大切なことがあると
いうことを思い出しました。
 
「結果」には必ず「原因」があるのには間違いないのですが、
その「原因」は一つではなく複雑なので
私たちが必ずしも理解できるとは限らないということです。
 
「原因」は必ずありますが、それを追求すべきかどうかは
状況によるのです。
 
ここで私がすべきは、「どうしてインフルエンザにかかったのか」
という「原因」を探ることではなく、
「どうやって早くインフルエンザを治すか」という、
「結果」をみつめ、いかに対処するかが重要だということになります。
 
仏教の説話の有名なものに「毒矢のたとえ」と言われるものがあります。
 
ある男が毒矢に打たれたとする。
その男が、「これは誰が打ったのだ、何の目的で打ったのだ、
それがわかるまでは、毒矢を抜いて治療してはならない。」
と言ったとします。
 
そんなことをしている間に、矢を抜き、治療しないと
おそらく死んでしまいますよね。
 
状況によっては、「原因」ばかりに目をとられていると
手遅れになりかねません。
 
まずは「結果」に対応し
毒矢を抜かなくてはなりません。
 
(そんなことを考えながら、すぐに
処方された新薬を飲むと、半日で熱は下がりました。)
 
あれこれと悩んで迷ってしまう時は、
まず「今」という「結果」をみつめ、今するべきことに絞って
考えてみることも大事かもしれませんね。
2019-01-29 08:00:00

無常迅速

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
 
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
ありがとうございます。
 
先週、「無常迅速(むじょうじんそく)」ということばを
紹介しましたが、
このことばは、禅宗のことばで、
はっきりとした出典は不明のようですが、
以下の四句のことばの一部です。
 
「生死事大 光陰可惜 無常迅速 時不待人」
 
「生死事大(しょうじじだい)
光陰可惜(こういんおしむべし)
無常迅速(むじょうじんそく)
時不待人(ときひとをまたず)」
 
つまり、
 
どう生きてどう死ぬかは大事なことである
(仏教的に読み解けば「生死を離れる」といって、
生き死にの問題を超越せよ、という意味になります)
 
わずかな時間(限られた人生の時間)を惜しみなさい
 
すべてのことはすぐに変わっていくものだ
(=あなたの、私の、死もすぐにやってくるという意味)
 
時間は人や人生を待たないのだ
 
という意味になります。
 
だからこそ、どう生きるかが大事ということです。
「忙しい」という字は、
「心」を「亡くす」と書く、というのはよく聞く話だと思いますが
忙しさによって、毎日をおろそかにはしていないでしょうか。
 
自分の人生は自分で選ぶことが大切です。
 
そのためには、一週間に一度でもいいので
すこし時間を取って、自分や大切な人のことを
見つめ直してみるのはいかがでしょうか。
2019-01-15 08:00:00

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