木こりと旅人
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
ありがとうございます。
今日は、イソップ童話から、こんな話を紹介します。
「木こりと旅人」という話です。
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ある日、旅人は山の中を歩いていました。
道中の山の中で、
一生懸命に木を伐っている「木こり」を見かけました。
そして夕方、同じ道を戻っていると、
朝見かけたのと同じ場所で、
汗をかきながら一生懸命、木を伐り続けている木こりがいました。
作業はあまり進んでいないようでした。
旅人がよく見ると、
木こりが使っている斧の刃は、ボロボロになっていました。
そこで、旅人は、
「木こりさん、がんばっていますね。
でもそれではあんまり作業が進んでないようだから、
いったん手を止めて、斧の刃を研いだらどうですか?」
と言いました。
すると、木こりはこう言います。
「なにを言ってるんだい、旅人さん。
刃を研ぐ時間なんてないんだよ、
木を伐るのに忙しくてね。」
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日々、忙しさで忙殺されていると、
気づけばこの木こりのようになっているかもしれません。
一度忙しさから離れて、
意識的に「刃を研ぐ」時間を作ることが大事だと思います。
疲れているなら、まずは休息をとることです。
そして、文化や、芸術、または自然に触れること。
さらには、みなさんが仏教の教えを聞いたり学んだりすることも
その一つになればいいなと思っています。
2019-04-23 07:50:52
「令和」
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
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昨日、新時代の元号「令和」が発表されましたね。
出典は『万葉集』巻第五の中にある
「梅花の歌」の「序」の一文、
「初春の令月にして 気淑(よ)く風和(やわら)らぎ
梅は鏡前の粉を披(ひら)き 蘭は珮後(はいご)の香を薫らす」
であると、合わせて発表されていました。
この「令」という字は、はじめて元号に使われるそうです。
「令」という字には、「命令」の「令」といったように、
「いいつける」という意味と、もう一つ
相手を尊敬して言う語(令嬢、令夫人など)
という意味があるそうです。
そこから、やはり、
相手を敬うことから、「和」が生まれる
という意味にも解釈できるのかなあと、
個人的にですが感じました。
これからやってくる「令和」の時代は
お互いに、相手を敬い、思いやることで
和やかな時代になればいいなあと思います。
2019-04-02 08:00:00
「栗」に見える「ウニ」
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
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このブログのテーマとしてもよく取り上げさせていただいていますが、
仏教のおしえには、「とらわれるな」、つまり
「先入観をもつな」、「ありのままに見ろ」というものがあります。
この前、テレビでこんな放送がありました。
水族館の水槽で「ウニ」と書いて「ウニ」を展示しているスペースに、
「栗」を入れておくと、気がつくか?
というものでした。
画面を通して見ると、明らかに、「栗」なのですが、
予想に反して?多くの方は、じっと見ても気づかず、
「ウニ」だと思って通り過ぎていました。
その中でも少数、気づいた人もいたのですが、
その多くは子どもだったのです。
中には、親子連れで水槽を見つめて、
お子さんが「あ、栗だ」と言うと、
お母さんが「ちがうよ、それは栗に見えるけどウニだよ」
と間違った訂正をしているシーンもありました。
この場面で言うと、
お子さんは「ありのままに」、「栗」だと見ているのに、
大人は、水族館に「栗」があるはずがないという「先入観」で、
(大人の目にも「栗」に見えているはずなのに、)
頭の中でウニに訂正してしまっていた、ということです。
なかなか、おもしろかったですが、
「ありのままに見る」ことの難しさを
あらためて感じさせられた番組でもありました。
2019-03-26 08:00:00
今どきの若い子
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
こんにちは。
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
ありがとうございます。
昨日、こんなことがありました。
出先でお昼ご飯を食べようとお店に入り
注文を済ませて待っていたところ、
隣の席に、若いカップルが座りました。
「今どきの若い子」という感じで、
髪は茶色から金色、お互い向かい合って座っても
それぞれ携帯をさわっていました。
私が食事をはじめてしばらくすると、
その2人の元へも食事が運ばれてきました。
すると、その2人は、そろって、手を合わせ
小さな声で「いただきます」と言って
食事をはじめました。
私は少し驚いたと同時に、和やかな気分になりました。
同時に、人を見かけで判断してはいけない、
ということも感じました。
実は以前にも、同じような場面に遭遇したことがあり、
少し「いかつく」見えるお兄さんが、
手を合わせて「いただきます」と言っているのを見たり、
したことがありますが、
見かけで判断する、ということは、
いわゆる「決めつけ」や「レッテルを貼る」ということで、
仏教の説く「ありのままに見る」に反していることになるなあ、
と、気をつけなければいけないなと思わせてくれました。
少しとりとめのない話になってしまいましたが、
日常のできごとから、感じたことを書かせていただきました。
2019-03-05 12:53:13
三階
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
いつもブログ「お坊さんの1分説法」をお読みいただき
ありがとうございます。
今日は、『百喩経(ひゃくゆきょう)』
というお経に出てくる、こんな話を紹介します。
あるところに大金持ちがいました。
彼が旅行先で、別の大金持ちから招待をうけ、家を訪ねました。
その家に到着すると、彼は腰を抜かして驚きました。
彼は三階に案内されました。
三階から見る景色はとてもすばらしいものでした。
実は、彼は「三階」を初めて見たのです。
彼の住んでいる村には高い建物がありませんでした。
二階建ての家すらないのです。
彼は、すっかり「三階」が気に入ってしまいました。
そこで、帰ると早速、
彼は大工を呼んで「三階」をつくるように命じます。
わかりました。では、「三階」をつくりましょう。
大工は引き受けましたが、この大工も慎重です。
はじめて建てる三階建てですから、
土台から丁寧に作っていきました。
彼は毎日、工事現場に来て、
「まだか、まだか」と催促します。
大工は「まだです」と答えるだけで、作業を続けます。
ついにある日、彼はしびれを切らして大工にこう言いました。
「いったいいつまでかかるんだ。」
「旦那、今土台からやっと一階をつくっているんですよ?
三階なんてまだまだです」
「なに、土台から一階をつくっているって?
わしは三階をつくれと言っているんだぞ。
一階なんてつくらなくていい。早く三階をつくれ。」
すこし説教じみた解説になってしまいますが、
人はつい、簡単に結果が得られることを願ってしまいます。
しかし、努め励むことなく、ただよい結果だけを求めていては
この金持ちのようになってしまうということですね。
2019-02-19 07:35:23