おはようございます。
いつもこうしん堂ブログ「お坊さんの1分説法」に
目を通していただき、ありがとうございます。
今日はインドに伝わる
「群盲(ぐんもう)象を撫(な)ず」
という話をご紹介します。
ある王様が目の見えない人たちに象を触らせてあげました。
初めて象に接した彼らに感想を聞いてみると、
耳を触った者は「象はうちわのような生きものだ」と言い、
足に触った者は「象は柱のようですね」と言い、
尻尾を触った者は「象はほうきみたいだ」と言い、
胴体に触れた者は「象というが、ただの壁じゃないか」と
とそれぞれが言い合って、
最終的に大げんかになってしまいました。
という話です。
もちろんこれは目が見える見えないの話ではなく、
ちまたによくある状態を表しています。
皆が(自分としては)正しいことを言っているのに
話が食い違ってしまって、
その結果対立が起こっています。
それは、だれもが、ある物事の一部しか知らないのに
全てを知っているかのように思ってしまうこと
が原因であったりします。
このインドに伝わる話は
「物事の一部を理解しただけで、すべてを理解した
と思い込んでしまうこと」の戒(いまし)めとして
語り継がれているのだと言われます。
人と意見が対立したときのことを考えてみましょう。
たとえば、お子さんのことで夫婦がもめている。
けれど、象(本当の目的)は
ご主人も奥さまも
「お子さんに幸せになってほしい」ことであることが多いです。
それぞれに仕入れた一部の情報(しっぽを撫でたりすること)
がすべて正しいように思い込み
(相手の言うようにするなんて子どものためにならないと)
けんかになっているだけかもしれません。
意見の対立があったときは一度立ち止まって
この「群盲象を撫ず」のお話を
思い返してみていただけると幸いです。
自分の意見は本当に全体(象)を捉えているだろうか。
また反対に、相手は象のどの部分を撫でて
そのような意見を言っているのだろうか。
一度立ち止まってこんなことを想像するだけで
すこし、相手の気持ちがわかったりするものではないでしょうか。