除夜の鐘
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
年の瀬で慌ただしいなか、
こうしん堂ブログ「お坊さんの1分説法」に
お目を通してくださり、ありがとうございます。
早いもので、もう2023年最後の
(ブログにお付き合いいただいている)火曜日になります。
大晦日には、お寺では除夜の鐘を撞(つ)き
新年を迎えます。
除夜の鐘は、108回撞きます。
わたしのところのお寺では
だいたい11時45分ごろ
(紅白も終わり「ゆく年くる年」のはじまるころです)
撞きはじめ、年を越し、0時30分ごろに
108回目の鐘を撞きおわります。
ご存知のように、108という数字は
人間の煩悩の数といわれます。
その由来は諸説あり、ここでは省きますが
煩悩には三毒煩悩といい、代表的な3つがあります。
「貪 瞋 痴(とん じん ち)」です。
「貪」とは「貪欲(とんよく)」、むさぼりの心。
すでにあるものに満足せず、キリのない
「ほしい、ほしい」という気持ちです。
「瞋」とは「瞋恚(しんに)」、怒りのことです。
怒りというのは炎にたとえられるように
場合によってはとどまることをしりません。
「痴」とは「愚痴(ぐち)」の「痴」、愚かなことです。
これは、頭の回転がわるい、知識がないといった話ではなく
間違ったことに振り回されたり
真実ではないことを思い込んだりすることです。
あなたの地域でも「除夜の鐘」が聞こえますでしょうか。
もしくは、撞く習慣がありますでしょうか。
聞こえるという方は、音を聞くとき、
また、もしよく鐘を撞くよという方は、鐘を撞くときに
自分自身の「三毒煩悩」を振り払うことを意識して
みてください。
一般的に「煩悩」といったときのイメージにちかく
いちばんわかりやすいのはやはり「貪欲」でしょうか。
あれもこれも欲する気持ちを
除夜の鐘の音で打ち消し、
「足るを知る」おだやかな気持ちで
新年を迎えていただければ
きっとよい1年のはじまりを過ごせるのではないか
とおもいます。
今年も1年間ありがとうございました。
2023-12-26 09:00:00
まずは自分を信じよう
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
12月のことば
「人とちがう それが自分 まずは自分を信じよう」
いつもこうしん堂ブログをお読みくださり
ありがとうございます。
火曜日には「お坊さんの1分説法」を公開していますので
ときどき目を通していただけると幸いです。
最近、SDGs やジェンダーレスがうたわれ
「人とのちがい」が認められる世の中に
少しずつなってきていると信じますが、
やはり「人とのちがい」に悩んだり
「同調圧力」があったり
人と同じようにできない(またはしたくない)ことが
「生きにくさ」につながってしまったりしています。
『阿弥陀経』という
極楽浄土のありさまを説いたお経に
次のような一節があります。
池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光
赤色赤光 白色白光 微妙香潔
池の中の蓮(はす)の花は、車輪のように大きく
「青いものは青く光り 黄色いものは黄色く光り
赤いものは赤く光り 白いものは白く光る」
そのようすが(それぞれに)すばらしく美しい
という意味です。
青いものは(無理にほかの色に光ろうとせず)
青く光ればよいのです。
そのようすがそのままで美しいのです。
ちなみにお経中に出てくる「微妙」とは
「びみょう」という意味ではなく「みみょう」と読み
「すぐれた」という意味です。
日本語の「微妙」も本来はそういった意味のようです。
一度お持ちの辞典を調べてみてください。
そして、光り輝くためには
まずは自分を信じること。
お釈迦さまが入滅(にゅうめつ/亡くなることです)する時
こまった弟子たちが
「これから何を道しるべに生きていけばよいでしょうか。」
と聞いたとき
「自灯明(じとうみょう)・法灯明(ほうとうみょう)」
とおっしゃいました。
この「自灯明」とは
自らを灯(ともしび)として生きよ
という意味で
暗い道で迷ったときは「自分の考え」に従い歩きなさい
ということです。
人とちがうことに悩むことがあったら
それが自分なんだと思い
まずは自分を信じて
一歩でも前にすすんでいただければ
という思いで、書かせていただきました。
いつもお話させていただいていますが
みんなで、もっと「多様性を認め合える社会」
をつくっていければいいなと思います。
私自身も「自分を信じて」
日々の活動に精進していきたいとおもいます。
2023-12-05 15:37:00
人にやさしく 自分にやさしく
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
11月のことば
「人にやさしく 自分にやさしく」
いつもこうしん堂ブログをお読みくださり
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ときどき目を通していただけると幸いです。
「人にやさしく、自分にきびしく」
とよく言われます。
自分自身をいましめるための言葉だと思います。
が、毎日色んなことがある中で
がんばっていない人なんか
いないんじゃないかと思います。
がんばっている自分を認めてあげてもいいんじゃないでしょうか。
自分にやさしくできている人が
人にやさしく、できるのではないかと思っています。
2023-10-31 08:00:00
中秋の名月
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
いつもこうしん堂ブログ「お坊さんの1分説法」を
お読みくださりありがとうございます。
今週の29日は、中秋の名月です。
天気も今のところよさそうですね。
浄土宗を開かれた、法然上人が
こんな歌を残されています。
一時、高校野球で上宮高校や上宮太子高校の校歌として
日本一(か定かではありませんが)短い校歌として
有名になった、「月かげ」という歌です。
月かげの いたらぬ里は なけれども
ながむる人の 心にぞすむ
月かげ(月影)とは、月の光という意味です。
簡単に訳すと
月の光が届かない所はない
(どんな里にも届いている)けれども
その月の光は、眺める人の心にだけすみわたるものだ
ということで、
この「月の光」は、仏教の教えに例えられたり
ご先祖が見守ってくださっていることに例えられたり
自分が恵まれているということに例えられたりします。
松下幸之助は、採用面接ではかならず
「あなたは運がいいですか」と聞いたと言われます。
人生、いいこともわるいことも当然起こります。
ただ、その出来事を受けて
「運がいい」と捉えられるかどうか。
まわりの人に恵まれているんだと気づけるかどうか。
この話を聞くと、月かげの歌に通じるようにいつも
思っています。
また、ご先祖が見守ってくれているということについても
同じだと思っています。
29日は、お月さまにご先祖さまを思いうかべて
見守ってくださっていることに思いをはせてみては
いかがでしょうか。
2023-09-26 08:00:00
9月はお彼岸
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
いつもこうしん堂ブログ「お坊さんの1分説法」を
お読みくださりありがとうございます。
8月も終わり、お寺の話でいうと
お彼岸が近づいてきました。
お盆が終わったところでもうお彼岸、といった感じで
正直、おまいりに来られる方の数でいうと
春のお彼岸よりも秋のお彼岸のほうが
例年すこし少なかったりします。
けれど毎年お話させていただくように
秋のお彼岸の中日である、「秋分の日」は
祝日法で「先祖をうやまい なくなった人々をしのぶ」日
とされるほど、だいじにされてきました。
ではどうして秋分の日がご先祖をしのぶ日なのでしょうか。
それは、秋分の日(と春分の日)は
太陽が真西に沈むからです。
西には西方浄土(さいほうじょうど)といい
なくなった方が過ごされているお浄土があるから。
太陽が真西に沈んだその先には
ご先祖さまや、なくなった大切な方々がいらっしゃる
お浄土があり
そちらを見て手を合わせるのに最適な日だと考えられた
からだと言われます。
そして、その前後1週間が「お彼岸」です。
わたしたちも、いずれなくなったときには
ご先祖さまや大切な方々のいらっしゃる
お浄土にいけるように、仏道修行を積みましょう
という期間です。
その修行期間には「六波羅蜜(ろくはらみつ)」といい、
6つの修行をするのがよいとされています。
こちらでも何度か紹介していますが、あらためて。
1つ目が、「布施(ふせ)波羅蜜」
人に、見返りを求めずに、物でも行動でも、差し上げること。
2つ目に、「持戒(じかい)波羅蜜」
戒律(かいりつ)や決められたルールを守ること。
3つ目に「忍辱(にんにく)波羅蜜」
人生につきものな様々な苦難に堪え忍ぶこと。
4つ目が「精進(しょうじん)波羅蜜」
仏道や自分の信じる道への努力を続けること。
5つ目が「禅定(ぜんじょう)波羅蜜」
精神を統一させること。冷静な心を保つこと。
6つ目が「智慧(ちえ)波羅蜜」(または般若波羅蜜)
ものごとの真理をみきわめる知恵をつけること。
ちなみにですが、お彼岸の過ごし方のモデルケースを
今回は紹介しようと思います。
この6つを順番に1日ずつ行います。
たとえば今年でいうと
お彼岸の入りである9月20日(水)は
「布施波羅蜜」を実践する。
なにかひとつでも、人に、見返りを求めずに
物でも行動でも、差し上げてみましょう
「ありがとう」と言われなくてもOKです。
9月21日(木)は「持戒波羅蜜」、
決められたルールを守ることをテーマに過ごしましょう。
いつもならまあいいかと思うようなことでも
一度きちんと守ってみましょう。
新しい発見があるかもしれません。
9月22日(金)は「忍辱波羅蜜」、
いやなことやつらいことがあっても
じっと耐え忍びましょう。
「怒らない」ことも忍辱波羅蜜です。
9月23日(土・祝)は
最初に書きました「お彼岸の中日」です。
法律のままに、「ご先祖を偲び、うやまいましょう。」
この世に生きている私たちが、ご先祖のいいところを
ひとつでも引き継げれば最高です。
9月24日(日)は「精進波羅蜜」、
なにか、取り組みたいけど取り組めていなかったことを
30分でもいいので、努力をはじめてみましょう。
9月25日(月)は「禅定波羅蜜」
精神統一、心を落ち着かせて過ごしてみましょう。
瞑想や座禅もよし、リラックスするひとときを
30分でも意識して過ごしてみましょう。
彼岸の終わり、結岸(けちがん)の9月26日(火)は
「智慧波羅蜜」、ものごとの真理をみきわめてみましょう。
まずは、ものごとを色んな角度から見てみることです。
相手の気持ちになって考えてみると
普段は見えなかったものが見えてくるかもしれません。
今年のお彼岸(9月20日~26日)はぜひ
こちらをやってみていただければとおもいます。
2023-09-05 08:00:00