おはようございます。
いつもブログ「お坊さんの1分説法」を
お読みいただき、ありがとうございます。
今日は、こんな話を紹介します。
中国の思想家、韓非(かんぴ)という者がおりました。
彼の履いていた袴がぼろぼろになってきたので、
彼は妻に、こう頼みます。
「この袴と全く同じものを作ってくれ。」
そこから数日、妻は寝る間も惜しんで
韓非の袴を織り、作っていきます。
数日後、出来上がった袴を見ると、
なんと、ぼろぼろの、つぎはぎをした袴だったというのです。
妻は、「全く同じものを作ってくれ」と言われたので、
新調するのではなく、
ご丁寧にぼろぼろ加減まで再現して袴を作ったのでした。
という、ちょっとした笑い話ですが、
私たちの日常には、これと同じようなことが多くありますね。
「言ったでしょ!」「聞いてない!」
とけんかになることもよくあります。
私たちは、ことばでコミュニケーションをはかっているため、
こうなるのは当然といえば当然かもしれません。
しかし、本当に大事なのは、やはり心であると思います。
この韓非夫妻が、この後、けんかになったのか、
「私もきちんと伝えなくてすまなかった。」となったのか
記録がないのでわかりませんが、
自分の思ったことが100%相手に伝わるということは難しい
ということを忘れずに、
相手の立場に立って物事を考えることで
いらぬトラブルを避けることができるのではないでしょうか。