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眠くなったら・・・

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。

先週、坊さんの研修会に参加してきました。

印象に残っているのが、隠元(いんげん)和尚の話。

隠元(いんげん)と聞いて何を思い浮かべますでしょうか。

インゲンマメ?

実は正解で、隠元和尚が日本に伝えたマメだから、 インゲンマメというそうです。

お坊さんの世界でも、隠元和尚は有名です。

それは、木魚(もくぎょ)を日本に広めた僧として。


木魚は何のためにあるのでしょうか。

一つは、お経のリズムを整えるためです。

そして、実はもう一つは、
お経を読み続けていると眠くなるので、 寝ないためにたたいていたそうです。

どうして魚の形をしているのかというと、
昔は、魚は寝ないと信じられていたので、
(本当は目を開けたまま寝るんだそうですが)
寝ない魚にあやかって、魚の形をしています。

すこし意外ではないでしょうか。
昔のお坊さんたちも、やはり眠気に負けそうな時があって、
克服するために、木魚をたたいていたというのです。


『徒然草』に、次のような節があります。

或人(あるひと)、法然上人(ほうねんしょうにん)に、
「念仏の時、睡(ねぶり)にをかされて、行を怠り侍る事、
いかがして、この障りを止め侍らん」と申しければ、
「目の覚めたらんほど、念仏し給へ」
と答へられたりける。 いと尊かりけり。


ある人が、法然上人に、
「念仏を唱えている時に、睡魔に襲われてしまい、
称名念仏の勤行を怠ってしまうのですが、
どのようにして、 この障害を乗り越えればよろしいのでしょうか?」
と質問した。

すると、法然上人は、
「目が覚めている時に、念仏をしなさい」
と答えられた。とても尊いことである。


眠い時には寝ていいから、 また起きたら念仏に励みなさい。

という教えです。

何事も無理は禁物。

どんなことだって 無理をして、がんばりすぎて、
結局続けられない、ということはあります。

それよりは、無理のない、続けられる範囲で継続する、
その方が、きっと力になると思います。

そのようにも受け取れる一節ではないかとおもいます。

2015-06-30 08:00:00

初心

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
実は今日から4日間、本山で研修があります。
といっても、滝に打たれる修行ではなく、座学がほとんどですが。

 それでもやはり、本山に行くと、 修行時代を思い出し
気が引き締まる思いがします。

 「初心忘るべからず」

何の仕事にも当てはまることだと思いますが、 心を大切にする、
僧侶の世界では特に大切なことの一つだとおもいます。
この「初心忘るべからず」ということばは、
能役者、世阿弥の言葉だそうです。

 「学び始めた当時の意気込みや謙虚さを忘れず、
常に高い志を持って物事に当たらねばならない」

 という意味です。 何事にも「慣れ」は生じてきます。
慣れとはこわいもので、よく、交通事故や、仕事上でのミスは、
慣れてきた頃に起こしやすいといいます。

  しかし、本当にこわいのは人間関係における慣れではないでしょうか。
ご夫婦やカップル、ご友人関係においても、
「初心忘るべからず」ということは本当に大事なことだと思います。

 われわれ僧侶も、人とお会いしてお話をさせていただく機会が多いです。
そして、袈裟をかけているがために、丁寧に扱っていただくことが多いです。
そのようなことに慣れてしまい、自分が偉いかのように思ってしまうと、
僧侶としての道を外れてしまうように感じます。

 そうならないためにはやはり「初心忘るべからず」
もちろん僧侶だけでなく、人間界で生活している以上、必要な考え方だとおもいます。
このような機会を与えてくださる本山にも感謝し、
私がはじめて修行に行った時を思い出しながら、本山に上ってまいります。

 研修で学んだことは来週ここでかきたいと思っています。
2015-06-23 08:55:27

お酒は飲んではいけない?

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
もう梅雨のまっただなかですね。
蒸し暑い日が続いていますが みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 さて、先週かきました「戒」のはなし。 すこしおさらいをしてみます。
不殺生(ふせっしょう)戒
不偸盗(ふちゅうとう)戒
不邪淫(ふじゃいん)戒
不妄語(ふもうご)戒
不飲酒(ふおんじゅ)戒
 の5つです。

 もしかしたら、先週から、 「上の4つは心がけるけど、
お酒を飲むなっていうのはなあ…。」 と思っていらっしゃる方がいるかもしれません。
そうです。 仏教では、お酒は飲まない方がよいとされています。

 これは、俺は毎日晩酌を楽しみに生きているんだ、
という人にとっては大きな問題だと思います。
そんな人はきっと お酒を飲まないなんて 誓いたくないでしょう。

 (戒は、先週説明しましたように、 習慣づけが目的と言えるのですが、
まずは戒を守ることを誓わなければなりません。
戒を守ると誓うことにより、 もし破ってしまった時には 懺悔、反省ができるのです。)
では、どうすればいいのでしょうか。

 私の所属する宗派の宗祖である、 法然上人(1133-1212)は、
こんな質問を受けたことがあります。 「お酒を飲むことは罪なのでしょうか?」
それに対して法然上人はこのように答えられたといいます。

 「本当は飲まないに越したことはないが、世のならい。」
積極的に容認するわけではもちろんありませんが、
仏教にはそれよりも大事なことがある、
ということを おっしゃりたかったのではないでしょうか。

 (ちなみに法然上人は、持戒の僧と呼ばれ、 戒を破ることのない僧として有名だったそうです。)

 仏教徒はお酒を飲んでいけないか、 という問いに対する現代的な答えは、
「恥ずべきお酒の飲み方をしてはいけない」 といったところではないかと思っています。
2015-06-16 09:28:31

遅くなりましたが、「戒」についてです!

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
以前から予告していました「戒」の内容について
書いていきたいと思います。
 
最も有名な戒に、
仏教徒なら誰でも守るべきという
「五戒(ごかい)」というものがあります。
 
五戒とは、
1、不殺生(ふせっしょう)
2、不偸盗(ふちゅうとう)
3、不邪婬(ふじゃいん)
4、不妄語(ふもうご)
5、不飲酒(ふおんじゅ)
の5つです。
 
文字を見て頂ければ、だいたい想像がつきますとおり、
1、不殺生とは、「殺すな」ということです。
2、不偸盗とは、盗むな。
3、不邪淫とは、浮気、不倫をするな。
4、不妄語とは、嘘をつくな。
5、不飲酒とは、酒を飲むな。
ということになります。
 
が、ここで少し補足をさせて頂きますと、
これらのことを守らなかったら、罰則だとか、
仏教徒として失格だというわけではないのです。
 
たとえば、1の不殺生。
文字面(づら)をみますと、
いかなる生き物でも殺してはいけない、ことになります。
仏教界では何か殺しでもすればすぐに捕まってしまう、
ようなイメージを持っていらっしゃる方もいます。
 
しかし、乱暴な言い方ですが、
道を歩いていて、1匹でも蟻を殺したらいけない!
というのでは、
戒など誰も守れないし、守ろうとしないと思います。
 
「できるだけ、無意味な殺生はしない」
というのが、現代の解釈の仕方として、良いのではないでしょうか。
 
少し前に触れたことですが、
「戒」とは、サンスクリット語(原語)で「シーラ」
といいます。
「シーラ」とは、「習慣」のこと。
歯みがきと同じように、「~しない」と気持ちわるい、
自然とそうしてしまう状態を作ることが本当の目的にあります。
 
不偸盗でも不邪淫でも不妄語でも、
盗まないこと、浮気をしないこと、うそをつかないこと。
これらのことを平気でする人と、
しないのが習慣になっていて、
もしも、何かうそをついてしまった時に、
罪悪感を感じるような人。
 
どちらの方が、普段の心の状態が定まっているでしょうか。
煩悩から、すこしでも離れられるでしょうか。
 
そのようなことで、少しでも仏教的な生活をするために
「戒」というものは現代にも生きています。
 
また来週、もう解説の続きをさせて頂きます。
2015-06-09 08:00:00

宗派をこえて

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
週末、先輩の晋山式(しんざんしき/しんさんしき)
に出てまいりました。
晋山式とは、そのお寺の住職に就任する儀式のことです。
各宗派によって行い方はちがいますが、
新住職のお披露目です。
 
禅宗のお寺でしたので、私は初めてだったのですが、
「問答」を見させていただきました。
専門でないので詳しくは書きませんが、
迫力のあるものでした。
 
日本仏教にはたくさんの宗派があります。
しかし、仏教の目指すところは同じです。
悟りを目指すこと、自らも仏になること。
 
宗派のちがいを聞かれた時には、
よくあるたとえですが、
頂上は同じ。その山の登り方がちがうだけです。
と説明します。
どの宗派も、頂上を目指しているという点では
何のちがいもないのですが、
とるルートがちがいます。
それが、坐禅であったり、念仏であったり、
お題目であったり、ご真言であったりするわけです。
 
どの宗派も頂上は同じですから、共通するところは多いです。
作法も、読むお経も、同じものもあります。
 
宗派の垣根を超えて、
仏教者が連携していくことができれば、
もっと仏教が親しみやすくなるのではないかな
という思いを持ちながら、
他宗の先輩の晋山式に参加させていただいた週末でした。
 
2015-06-02 08:00:00

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