他力本願1
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
こんばんは!
今日はGW日和でしたね、みなさんお出かけされましたでしょうか。
行事で更新が遅くなってしまいましたが、先週のさいごに書きかけていました、
他力本願の話を、今回から書いていきたいと思います。
仏教の中でも、特に浄土教(浄土宗や浄土真宗など)の中では、
自分の愚かさを知りなさい
という教えがあります。
日本で、はじめて仏教を民衆に広めた、浄土宗の祖、法然上人は、
当時、仏教を学んでいた僧が集まる比叡山の中で、一番優秀だと言われていました。
にもかかわらず、「私は三学(さんがく/仏教で学ぶべき3つの要素とされています。詳しくは次回書きます。)の器ではない」とおっしゃいました。
自分の力で悟りに至ることを否定されたのです。
その代わりにどうするかと言いますと、仏さまにお任せする、という考え方です。
他力本願とは、自分はなまけて人に頼ることではなく、
自分の能力には限界があることを知り、慢心をもたないことです。
つづきは、また次週にさせていただきます。
では、よいGW最終日を!
2015-05-05 21:18:43
鈍刀
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
今日は、以前にも紹介しました、
仏教詩人である
坂村真民さんの詩を
もう1つ紹介したいと思います。
鈍刀をいくら磨いても
無駄なことだというが、
何もそんなことばに
耳を借す必要はない。
せっせと磨くのだ。
刀は光らないかもしれないが、
磨く本人が変わってくる。
つまり刀が
すまぬすまぬと言いながら、
磨く本人を
光るものにしてくれるのだ。
仏教の教え、特に浄土教のなかには、
「いかに自分が凡人であるかを知る」
というものがあります。
慢心を持たず、自己を見つめることが大切です。
「他力本願」ということばも、
そういうところからきています。
そのことについては、また来週に!
2015-04-28 08:00:00
心の持ち方
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
お坊さん、というとみなさんどんなイメージをお持ちでしょうか。
毎日修行されてるんですか?と聞かれることもありますが、想像される瀧行のような修行は、修行僧の間くらいしか、する機会は少ないです。
後は、毎日の読経や作務(さむ/掃除のことです)が修行です、と答える方もいらっしゃいますが、普段はそんなにたいしたことはしていないかもしれません。
さて、先日、心の持ち方について書かれた本を読んだのですが、
自分の感情を自分でコントロールすることが大切
とありました。
なかなか難しいことですが、仏教でもそれは大切なこととされています。
なにか嫌なことがあった時、かっとなって怒るのではなく、
一歩立ち止まって、耐えること。
また、納得いかない状況にある時、投げ出すのではなく、よりよい方向に向かうため努力すること。
これらのことはとても難しいですが、難しい分だけよい行いとされています。
そのようにして、何かできごとが起きた時、何通りもある自分の反応の中から、よりよい物を選ぶことが、仏教でいう「知恵」だとおもいます。
何かが起きたときに主体的に自分の心の持ち方を決めていくこと。
私もまだまだできていませんが、日常の中でできる修行のひとつだとおもいます。
2015-04-21 11:51:05
傾聴(けいちょう)
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
昨日もお坊さんのテレビを見ました。
どうしても極論になりがちなところは
あると思うのですが、
こうやってお寺や仏教が注目されるのは
本当にうれしいことです。
さて、先日勉強会で、「傾聴(けいちょう)」
について学びました。
傾聴とは、辞書での意味は
「耳を傾けて、熱心に聞くこと」
ですが、
ここで書く「傾聴」は、
「傾聴ボランティア」のことをいいます。
傾聴ボランティアとは、
京都ノートルダム女子大学の村田久行教授が
呼称したのが始まりだそうですが、
「(高齢者や病気の方、震災の被災者など)
悩みや寂しさを抱える人の話を真摯に聴くことで
相手の心のケアをする活動」
をさします。
カウンセリングと異なり、
問題解決のためのアドバイスなどは行わない
ことが大事だそうです。
「聴く」ことは、それだけで援助になるそうです。
絶望した人や、孤独の苦しみを味わっている人の
「誰にもわかってもらえない苦しみ」は、
「誰かにわかってもらえた」となることが
1番の救いになります。
人のことを理解するのは本当に難しいと思います。
そのことをわかった上で、
ただ寄り添うことが大切だそうです。
傾聴は、ある意味では誰にもできることです。
ですので、機会があればやってみてください。
その時のポイントは、
「いったん全部受け入れること」だそうです。
相手が何を言っても否定しないこと。
「そんなこと言っちゃいけないよ」
という気持ちを少しでも持ったら傾聴にはならないので、
とにかくひたすら受け入れましょう
と講師の先生はおっしゃっていました。
最後に、「聞く」と「聴く」のちがい
についてはよく聞く話ですが、
実は「聴」という字は、「ゆるす」
とも読みます。
相手のことを「許す」という心の働きを含むのが
「聴く」ということなのだそうですよ。
2015-04-14 08:00:00
カンタンな修行
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
いつもお読みいただきありがとうございます。
昨晩、お坊さんを特集したテレビがやっていました。
ゴールデンタイムで、
しかも1回ではなくこれからも続くそうで、
何度かお話したことのある方も出演されていて、
びっくりすることだらけでした。
途中、修行僧に密着のコーナーがあり、
修行時代を思い出し、新鮮な気持ちで今朝を迎えています。
さて、前々回の続きの「無財の布施」ということですが、
仏教の一番大切なことの一つだと思っています。
布施(ふせ)とは、お坊さんに金品を差し出すことではないよ、
と書きましたが、布施とは、
自分が持っているもの(物でも労力でも)を人のために役立てること
を言います。
そして、見返りを求めないことが重要です。
よい副産物があるとすれば、
自分の心がすがすがしくなることくらいでしょうか。
何か差し上げることが大事だというと、
差し上げる物やお金がなかったり、
労力だといえば、病気で寝ている時はできない
ということになります。
が、そうではありません。
私は僧侶とともに薬剤師の仕事をしていますが、
病院でベッドサイドに行き、
お薬の説明をしたり相談にのったりします。
そんな時に、笑顔で「ありがとう」
と患者さんに言ってもらいますと、
本当にいい気持ちになります。
熱があったり体が痛いときは仕方がありませんが、
それがましな時は、ほほえみや優しい言葉を
差し上げることができるのです。
そんなお顔やことばに
私たちも教えられたり、慰められたりします。
テレビでは厳しい修行にスポットが当てられていましたが、
普段の生活の中でもできる
笑顔で話す、笑顔であいさつをする、ということが
ある意味では、一番簡単で効果の得やすい修行ではないでしょうか。
2015-04-07 09:50:03