頭の悪い弟子
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
昨晩、しし座・おうし座の流星群でしたね。
くもり空でしたが、しばらく眺めていると、
ひとつ流れ星を見ることができました。
今日は、お釈迦さまの弟子の中で、
一番頭が悪く、愚かだといわれていた、
シュリハンドクという人の話を紹介します。
彼は自分の名前すら忘れてしまうほど、頭が悪かったと言われています。
他の弟子たちからバカにされていたシュリハンドクは、
自分の愚かさを嘆いて、お釈迦さまの弟子をやめようと思いました。
「お釈迦さま、私はあまりに愚かなので、
もう、さとりを目指すのをやめようと思います。」
すると、お釈迦さまは、
「自分を愚かだと知っている者は愚かではない。
自分を賢いと思い上がっている者が、本当の愚か者である。」
とおっしゃったそうです。
そして、お釈迦さまはこう続けました。
「おまえの一番大好きなことはなんだね?」
シュリハンドクは、
「はい、私はそうじが好きです」と答えました。
「そうか、おまえは多くのことを憶えられないようだから、
その大好きなそうじを一生懸命にやりなさい。」
「はい、それなら、私にもできそうです!」
「そうか、ではがんばるのだよ。」
お釈迦さまにそう言われてうれしくなったハンドクは、
1年、2年、5年、10年、20年と、ひたすらに掃除を続けていきます。
その姿勢に、はじめはバカにしていた他の弟子たちも、
次第に彼に一目を置くようになります。
やがて、お釈迦さまに言われたことを、
ただ黙々と、ひたすらやり続けるその姿に、
ハンドクを心から尊敬するようになりました。
そして、ついにハンドクは、
さとりを得ます。
「お釈迦さまわかりました。掃除をしても、掃除をしても、
後から、後から、ちりがあふれ、あかがついてきます。」
「それで、シュリハンドク、何がわかったのだね?」
「はい、私の心にも、ちりやあかが、後から後から生まれてきますが、
何度も何度も、それを掃き清めていけばいいのだ、ということがわかりました。」
お釈迦さまは、他の弟子たちにこう言いました。
「さとりを開くということは、
なにもたくさん覚えることでは決してない。
たとえわずかなことでも、徹底して行うことが大切なのだ。」
どんなことでも、真剣に一途に続けていれば、
本物になるということだと思います。
2014-11-18 08:00:00
仏像を盗もうと・・・
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
先週末、仏式の結婚式に参加させて頂きました。
新郎新婦の晴れ姿が目に焼き付いています。
仏前結婚をされる方が増えればいいなあと思いました。
今日は「僧侶になった泥棒」という話を紹介したいとおもいます。
インドに、有名な泥棒がいました。
泥棒は、あるお寺の純金の仏像を盗もうと思いました。
そこで彼は、そのお寺に行き、
出家させてくださいと頼みました。
お坊さんになってお寺に住み込んで、
まわりを信用させて、その仏像を盗もうと思ったのです。
そのお寺の住職は、この泥棒の願いを聞いて、
お寺で修行させてあげることにしました。
泥棒は、仏像を盗みたいわけですが、
まずは皆の信用を得なければなりません。
立派なお坊さんにならないと、誰も信用してくれないので、
彼は一生懸命に修行しました。
住職の説法もよく聞きますし、
仕事も大変熱心にこなします。
仏像を盗むために、誰よりもまじめに修行したのです。
そうして何年かたつうちに、大分偉いお坊さんになりました。
もうそろそろ盗めるかな、と思います。
しかし、まだまだ危険だと思い、盗みを延期します。
そしてその間もまじめに修行していました。
それからまた、何年もたちました。
ついに、彼は、そのお寺の住職になってしまったのです。
そうなると、もう仏像を盗むどころか、
仏像を守っていく立場です。
もう盗みたいという気持ちは彼にはありません。
修行をしているうちに、本物のお坊さんになっていたのです。
良い習慣を無理にでも続けていると、
なんとなくやめにくい、という状態になったことはないでしょうか。
いつの間にか、その習慣が自分のものになっているのですね。
2014-11-11 09:49:55
ヤギも牛もニワトリも・・・
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
朝晩、とても寒くなりましたね。
風邪などひかないように気をつけてくださいね。
3連休が終わり、ゆううつな気分で
今朝を迎えられた方も多いかもしれません。
週のスタートに、こんな話を紹介しようとおもいます。
昔、ある男がお坊さんに相談にきました。
「私の家は小さく、その小さい家に子どもが7人もいます。
おまけに妻はいつもガミガミおこってばかりいます。
わたしはどうすればいいでしょうか?」
お坊さんは、
「それでは、ヤギを家の中に入れて飼いなさい。」
と答えます。
すると翌日、またその男が来て、
「家は狭いし、子どもは多いし、
妻はガミガミ言う、その上にヤギが家の中で暴れ回ります。
どうしたものですか。」
お坊さんは、
「では、牛も家の中に入れて飼いなさい。」
と答えたといいます。
翌日、その男は、
「家は狭いし、子どもは多いし、
妻はガミガミ言う、ヤギが暴れ回る、
その上、牛がモーモー鳴いてたまりません。」
お坊さんは、
「では、ニワトリも中に入れて飼いなさい。」
と答えます。
次の日も男はやって来て、
「家は狭いし、子どもは多いし、
妻はガミガミ言うし、ヤギも牛もニワトリも、
もう家の中はめちゃくちゃです。」
するとお坊さんは、
「では、ヤギも牛もニワトリも全部外へ追い出しなさい。」
と言いました。
その翌日、
男は、はればれとした顔でやってきて
こう言ったそうです。
「和尚さま、ありがとうございました。
わたしは今まで気づかなかったが、
わたしの家は広く、それに子どもたちはいい子ばかりで、
妻もやさしいということがわかりました。
わたしは幸せなのに、文句ばかり言っていたのですね。」
わたしたちはどうしても
足りないものに目がいきがちですが、
時々こんなふうに、
あらためて今の幸せを「自分から」感じてみることも
いいのではないでしょうか。
幸せなところに目を向け、今週もがんばっていきましょう。
2014-11-04 08:41:32
息子を生き返らせて
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
週末、こうしん堂の先生と和歌山ジャズマラソン
に参加させていただきました。
何年かぶりに走りましたが
(5キロと、長い距離ではなかったので)
天気もよく、気持ちよく走ることができました。
が、2日たって、足が痛くてたまらない朝です。
今日もお釈迦さまがされた説法の話をかこうとおもいます。
キサーゴータミーという女性がいました。
彼女は、かわいい自分の一人息子を死なせてしまい、
悲しみのあまり気が狂いそうになっていました。
我が子の死体を抱き、何としても生き返らせてほしいと
修行者や仙人を訪ね歩きましたが、かなえられず、
お釈迦さまのところを訪ねました。
お釈迦さまはこうおっしゃいました。
「わかった、息子の命を取り戻してあげよう。
ただし、キサーゴータミーよ、
これから、一度も死人を出したことのない家に行って、
ひと粒の芥子(けし) の種をもらってきなさい。
いいですか、一度も死人を出したことのない家の、芥子の実を
もらってくれば、息子の命をよみがえらせることができる。」
キサーゴータミーは喜んで、家々を訪ねました。
どこの家も、芥子の実などお安いご用だといってくれるのですが、
「いままでに一人の死人も出したことはないですか?」と聞くと、
どの家の人も悲しい顔になり、
亡くした家族のことを語り始めるのでした。
次から次へ、村中の家々を回っても、一軒として
死人を一人も出したことのない家などありませんでした。
キサーゴータミーは、疲れ果ててお釈迦さまのもとへ帰り、
こう言ったといいます。
「お釈迦さま、一人も死人を出したことのない家などありません。
どの家も、両親や兄弟や子どもを亡くして、深い悲しみを経験し、
その苦しみに耐え、やがて生きる力を取り戻しています。
お釈迦さま、よくわかりました。
この世に生まれたものはいつかは死にます。
私の息子を生き返らせることはできません。
私もこの悲しみに耐え、生きつづけてまいります。」
2014-10-28 08:03:52
死にものぐるいで・・・
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
今日は塚原卜伝(つかはらぼくでん)の話を紹介します。
塚原卜伝は、戦国時代の剣豪として有名ですが、
卜伝に弟子入りを志願した若者がいました。
「わたしは一生懸命に修業します。何年ぐらいで免許皆伝になれますか?」
「そうだな、おまえはなかなか筋がいいから、5年でなれるだろう。」
若者は、
「では、寝食を忘れて修業に打ち込めば、何年で免許皆伝になりますか?」
「それだと10年かかるな。」
若者はおかしい、と思って
「では、死にものぐるいで修業すると、何年で免許皆伝になりますか?」
「おいおい、それだと一生かかっても無理だよ。」
仏教には「中道(ちゅうどう)」という教えがあります。
両極端になるな、という意味ですが、
修業をするにあたり、怠けているのは当然だめですが、
寝食を忘れて、また死にものぐるいで、というのは、極端ですね。
極端なものは長続きしにくい、
それなら、適度に努力を重ねるのが最も近道であるというのです。
人生にあせりは禁物、とよく教えられました。
ゆっくり確実に歩んでいきましょう。
2014-10-21 09:35:26