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衣だけを・・・

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
今日は一休さんのお話を紹介したいと思います。

京都の商家で大きな法要があり、一休禅師が呼ばれました。

当日、一休禅師は、汚らしい着物を着て、
手足にすすをつけ、その商家に行きました。
そして、玄関から中へ入ろうとしました。

家の主人はなんだと思い、
「見苦しい奴じゃ、さっさと追い出せ」
と家来に命令します。
一休さんはさんざん棒で打たれて、追い返されました。

しばらくして、一休禅師は、金襴の袈裟に身を包み、
堂々と商家の門前に立ちます。
主人は、「どうぞどうぞ」と、
奥へ案内しようとすると、

「いや、私はここで結構です。」と
一休さんは玄関を動こうとしません。
主人が「ここは下々の者が座るところです。さあ、奥へどうぞ。」
と言うと、一休禅師は
「では、この衣だけを連れていってください。
中の私は、ここから追い出されたのですから。」
とおっしゃったといいます。

私たちは、見た目で人を判断してしまいがちだ
ということを、一休さんは教えられたのだと思います。

2014-12-02 09:25:57

手を打てば・・・

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
先日、奈良でお坊さんの研修会がありました。

今日は、ご存じの方も多いかもしれませんが、
興福寺(こうふくじ)の五重の塔のふもとにある
猿沢の池(さるさわのいけ)で歌われたと言われる
歌を紹介したいと思います。

「手を打てば はいと答える 鳥逃げる 鯉は集まる 猿沢の池」

猿沢の池のまわりには旅館がたくさんあったそうですが、
旅行客が猿沢の池のそばの旅館でパンパンと手を打ったなら、
女中(じょちゅう)さん(旅館のお手伝いの人のことです)は、
お客が呼んでいる、注文をしてくれると思い、
大急ぎでやってきて、なんでしょう?と言います。

旅館の屋根にとまっていた鳥は、
鉄砲で撃たれたと思い、逃げてしまいます。

池を泳ぐ鯉は、餌がもらえるのかと思って集まってきます。

手を打つ音には変わりはありませんが、
聞く方の受け止め方はそれぞれちがう、
という話です。

同じ一つのできごとでも、
受け止め方が違えば、喜ぶことも悲しむこともできる。
つまり、私の中で、できごとのとらえ方によって
幸せをつくったり不幸をつくったりしている、
ということです。
受け止め方の中に幸せがあるなら、
幸せになれる心を自ら育てていくことが大事ではないでしょうか。

どんなことでも、広い心で、喜びや感謝の心で、
受け止められるようになりたいものですね。

2014-11-25 08:00:00

頭の悪い弟子

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。

昨晩、しし座・おうし座の流星群でしたね。
くもり空でしたが、しばらく眺めていると、
ひとつ流れ星を見ることができました。


今日は、お釈迦さまの弟子の中で、
一番頭が悪く、愚かだといわれていた、
シュリハンドクという人の話を紹介します。

彼は自分の名前すら忘れてしまうほど、頭が悪かったと言われています。

他の弟子たちからバカにされていたシュリハンドクは、
自分の愚かさを嘆いて、お釈迦さまの弟子をやめようと思いました。
「お釈迦さま、私はあまりに愚かなので、
もう、さとりを目指すのをやめようと思います。」

すると、お釈迦さまは、
「自分を愚かだと知っている者は愚かではない。
自分を賢いと思い上がっている者が、本当の愚か者である。」
とおっしゃったそうです。

そして、お釈迦さまはこう続けました。
「おまえの一番大好きなことはなんだね?」
シュリハンドクは、
「はい、私はそうじが好きです」と答えました。

「そうか、おまえは多くのことを憶えられないようだから、
その大好きなそうじを一生懸命にやりなさい。」

「はい、それなら、私にもできそうです!」
「そうか、ではがんばるのだよ。」

お釈迦さまにそう言われてうれしくなったハンドクは、
1年、2年、5年、10年、20年と、ひたすらに掃除を続けていきます。

その姿勢に、はじめはバカにしていた他の弟子たちも、
次第に彼に一目を置くようになります。

やがて、お釈迦さまに言われたことを、
ただ黙々と、ひたすらやり続けるその姿に、
ハンドクを心から尊敬するようになりました。

そして、ついにハンドクは、
さとりを得ます。

「お釈迦さまわかりました。掃除をしても、掃除をしても、
後から、後から、ちりがあふれ、あかがついてきます。」

「それで、シュリハンドク、何がわかったのだね?」

「はい、私の心にも、ちりやあかが、後から後から生まれてきますが、
何度も何度も、それを掃き清めていけばいいのだ、ということがわかりました。」

お釈迦さまは、他の弟子たちにこう言いました。

「さとりを開くということは、
なにもたくさん覚えることでは決してない。
たとえわずかなことでも、徹底して行うことが大切なのだ。」


どんなことでも、真剣に一途に続けていれば、
本物になるということだと思います。

2014-11-18 08:00:00

仏像を盗もうと・・・

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。

先週末、仏式の結婚式に参加させて頂きました。
新郎新婦の晴れ姿が目に焼き付いています。
仏前結婚をされる方が増えればいいなあと思いました。

今日は「僧侶になった泥棒」という話を紹介したいとおもいます。


インドに、有名な泥棒がいました。
泥棒は、あるお寺の純金の仏像を盗もうと思いました。
そこで彼は、そのお寺に行き、
出家させてくださいと頼みました。
お坊さんになってお寺に住み込んで、
まわりを信用させて、その仏像を盗もうと思ったのです。

そのお寺の住職は、この泥棒の願いを聞いて、
お寺で修行させてあげることにしました。

泥棒は、仏像を盗みたいわけですが、
まずは皆の信用を得なければなりません。
立派なお坊さんにならないと、誰も信用してくれないので、
彼は一生懸命に修行しました。
住職の説法もよく聞きますし、
仕事も大変熱心にこなします。
仏像を盗むために、誰よりもまじめに修行したのです。

そうして何年かたつうちに、大分偉いお坊さんになりました。

もうそろそろ盗めるかな、と思います。
しかし、まだまだ危険だと思い、盗みを延期します。
そしてその間もまじめに修行していました。

それからまた、何年もたちました。
ついに、彼は、そのお寺の住職になってしまったのです。

そうなると、もう仏像を盗むどころか、
仏像を守っていく立場です。

もう盗みたいという気持ちは彼にはありません。
修行をしているうちに、本物のお坊さんになっていたのです。


良い習慣を無理にでも続けていると、
なんとなくやめにくい、という状態になったことはないでしょうか。
いつの間にか、その習慣が自分のものになっているのですね。

2014-11-11 09:49:55

ヤギも牛もニワトリも・・・

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。

朝晩、とても寒くなりましたね。
風邪などひかないように気をつけてくださいね。

3連休が終わり、ゆううつな気分で
今朝を迎えられた方も多いかもしれません。

週のスタートに、こんな話を紹介しようとおもいます。


昔、ある男がお坊さんに相談にきました。

「私の家は小さく、その小さい家に子どもが7人もいます。
おまけに妻はいつもガミガミおこってばかりいます。
わたしはどうすればいいでしょうか?」

お坊さんは、
「それでは、ヤギを家の中に入れて飼いなさい。」
と答えます。

すると翌日、またその男が来て、
「家は狭いし、子どもは多いし、
妻はガミガミ言う、その上にヤギが家の中で暴れ回ります。
どうしたものですか。」

お坊さんは、
「では、牛も家の中に入れて飼いなさい。」
と答えたといいます。

翌日、その男は、
「家は狭いし、子どもは多いし、
妻はガミガミ言う、ヤギが暴れ回る、
その上、牛がモーモー鳴いてたまりません。」

お坊さんは、
「では、ニワトリも中に入れて飼いなさい。」
と答えます。

次の日も男はやって来て、
「家は狭いし、子どもは多いし、
妻はガミガミ言うし、ヤギも牛もニワトリも、
もう家の中はめちゃくちゃです。」

するとお坊さんは、
「では、ヤギも牛もニワトリも全部外へ追い出しなさい。」
と言いました。

その翌日、
男は、はればれとした顔でやってきて
こう言ったそうです。

「和尚さま、ありがとうございました。
わたしは今まで気づかなかったが、
わたしの家は広く、それに子どもたちはいい子ばかりで、
妻もやさしいということがわかりました。
わたしは幸せなのに、文句ばかり言っていたのですね。」


わたしたちはどうしても
足りないものに目がいきがちですが、
時々こんなふうに、
あらためて今の幸せを「自分から」感じてみることも
いいのではないでしょうか。

幸せなところに目を向け、今週もがんばっていきましょう。

2014-11-04 08:41:32

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