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お盆の意義

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。

お盆が終わりましたね。
みなさんもご先祖を迎え、送られたでしょうか。
この、ご先祖をお迎えし、お送りするというのは、
日本独自の文化です。
(厳密に言うと、中国から伝わった部分が大きいそうですが。)
先祖を敬い、供養をする。
ご先祖のおかげで、今の私があるということを感じ、感謝する、
素晴らしい文化です。
 
そして、お盆の由来については
何回か前に書きましたが、
目蓮尊者(もくれんそんじゃ)の母は、わが子である目蓮にだけ
優しくしてしまったので、餓鬼道(がきどう)に堕ちてしまいました。
その母を救うには、目蓮ほどの神通力を持った僧でさえ、
一人の力ではどうにもできませんでした。
お釈迦さまは、大勢の僧侶に供養をし、お経を上げてもらうよう
目蓮に伝えました。
その、大勢の僧侶のお経の功徳(くどく)によって、
母親だけでなく、餓鬼道で苦しむ皆が救われました。
 
この話は、私たちは一人で生きているのではない、
皆がいるから、今、私たちは生かされているのだ、
ということを教えているのだといいます。
 
ご先祖がいたおかげで、今、私たちは生かされている。
まわりの人々がいるから、私たちは生きていくことができる。
 
ご先祖に、そして、今自分のまわりにいる人々に
改めて、おかげさま、と感謝をするのが
お盆という行事である、
と私の師匠は言っていました。

日々の忙しさに追われ、そういったことを
感じる機会はなかなかないとおもいます。

みなさんそれぞれのお盆を過ごされたと思いますが、
ぜひそういった視点で、振り返ってみて頂き、
改めて、ご先祖や、今まわりにいる人々の
おかげさまを感じてみて頂ければとおもいます。

2014-08-19 09:00:00

人間の力では・・・

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
台風の被害はなかったでしょうか。

お盆を直撃したので、お寺の予定にも大きく響いてしまいました。

さて、先日、私のお寺のまわりで有名だった、
100歳のおじいさんが亡くなられました。
その方には本当に色々なことを教えて頂きましたが、
印象的だったのは、
数年前、東日本大震災があった時、

生きたくてもあのように亡くなってしまう人もおる。
わしみたいになんでかわからんけどずっと生かして
もうとる人間もおる。
こればっかりはなんでかわからんのや。

とおっしゃっていました。
人間の力ではどうしようもないことがあります。

だからこそ、できる範囲のことを一生懸命やろう。
そのように思わせてくれた一言でした。

では、台風でずれこんだお盆まいりに行ってきます。
自分にできることを少しずつ、がんばりましょう。

2014-08-12 07:40:00

ありがとう

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
先週の最後、人間界に生まれたことを感謝して
精一杯生きましょうということを書きました。

今日は「ありがとう」について書きます。
「ありがとう」という言葉、みなさんご存じだと
思いますが、「有り難う」と書きます。
あることが難しい(めったにない)、
相手のしてくれたことが、めったにないほどすごいことだ
という意味です。

さて、この「有り難し」という表現は、実は仏教からきていると言われます。
『法句経(ほっくきょう)』というお経の中に、
次のような一文があります。

「人の生を 享(う)くるは難く やがて死すべきもの 今いのちあるは 有り難し」

前回書いた、六道を輪廻(りんね)するうちで、
人間界に生まれることは、めったにないことです。

お釈迦さまは、弟子たちに、人として生まれるのはどれほど
「有り難い」ことか、次のように説いています。

大海があって、そこに目の見えない亀がいる。
その大海には、小さな穴のあいた丸太がたった1本ただよっている。
その亀がたまたま水面に顔を出した時、ちょうどその丸太の小さな穴に
顔を入れることがあるだろうか。
人としてこの世に生まれるのは、それよりも難しい、
有り難いことなんだよ。

その「有り難い」人間界に生まれても我々は「やがて死す」
わけですから、今この瞬間が、いかに「有り難い」ものなのか
がわかりますね。
一瞬一瞬を大切に生きましょう。
2014-08-05 09:00:00

六道輪廻

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
先週、お盆の由来についてお話しました。
その中で、目蓮尊者(もくれんそんじゃ)が母親を探した話をしましたが、
「天界、人間界、阿修羅(あしゅら)界、・・・」
という世界を書きました。
今日はこの「六道(ろくどう)」について説明します。
 
もともとは古代インドの思想ですが、
生物は、肉体は滅びても魂(アートマンと言います)は不滅であり、
輪廻転生(りんねてんしょう/生まれ変わること)すると信じられていました。
 
仏教でも、その思想は引き継がれ、
地獄、餓鬼(がき)、畜生、阿修羅、人、天の6つの世界(六道)
を行ったり来たりしているとされています。
過去世の業(ごう/行いのこと)によって、
いい行いをすれば、次の世は天界(天国をイメージされるといいと思います)に行きます。
天界ほどではないが、いい行いをすると、人間界に生まれます。
その順に、阿修羅、畜生、餓鬼、地獄と続きます。
阿修羅とは、常にお互いに戦っている世界、
畜生とは、動物のことです。
餓鬼は、前回説明しましたが、
皆がお腹をすかせてやせ細っていて、
物を食べようとした瞬間、その物は消えてなくなる、という世界です。
そして、地獄はその名の通り、最も苦しい世界です。
 
この地獄道、餓鬼道、畜生道を三悪道(さんあくどう・さんなくどう)と言い、
その三悪道に堕ちることは最も怖れられていました。
 
さて、地獄と極楽などといいますが、ここには極楽がないことに
気づかれましたでしょうか?
実は、極楽は、この他にあるのです。
六道を輪廻していると、天界や人間界に生まれることもあれば、
三悪道に堕ちることもあります。
この輪廻の世界から抜け出し、二度と三悪道に堕ちなくなることが、
極楽に生まれることです。
「解脱(げだつ)する」と言います。
 
六道輪廻から抜け出し、極楽に生まれるには、
人間界からしか抜け出せないと言われています。
 
三悪道では、苦しみが強くて、修行などできません。
修羅道でも、戦いに明け暮れているため、そんな余裕はありません。
そして、天界(天道)では、天国が心地よく、また寿命も大変長いため、
抜け出したいと思わず、そのまま暮らしてしまうのだといいます。
(しかし寿命を終える時の苦しみは、六道の中で最も強いと言われます)
 
よって、六道から抜け出すための修行をできるのは、人道(にんどう/人間界)
だけということになるのです。

苦しみも楽しみもある人間界に生まれたことを感謝し、
六道から解脱できるよう、日々精進してまいりましょう。

2014-07-29 07:31:17

お盆

カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
暑さが厳しくなってきましたね。
それと同時にお盆が近づいてきました。

今日はお盆について書こうとおもいます。
お盆とは、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という行事です。

盂蘭盆会とは、
お釈迦さまの弟子に、目蓮(もくれん)という人がいました。
目蓮尊者(そんじゃ)は、神通第一(じんづうだいいち)と称され、
お釈迦さまの弟子の中で、神通力が最もすぐれていると言われていました。

目蓮尊者は、その神通力で、亡くなった自分の母は、
その後どの世界に行っているだろうと、探します。

あれだけ自分に優しくしてくれた母だから、きっと極楽に行っているだろう
と極楽を探しましたがいません。
次にいいところだとされる、天界を見渡してもいません。
そして、人間界、阿修羅(あしゅら)界、畜生(ちくしょう)界と
順に見ていっても、目蓮尊者の母はいませんでした。

まさか、と思い、餓鬼(がき)の世界
(そこにいる人はみな、やせ細っていて、常にお腹をすかせた状態で、
物を食べようとした瞬間、その物は消えてなくなる、という
地獄の次に苦しい世界とされています。)
を見てみると、そこには、お腹をすかせて苦しそうな
母親の姿がありました。

どうしてこんなことになっているのでしょうか、
とお釈迦さまにたずねると、
目蓮尊者の母は、我が子である目蓮尊者には優しかったけれども、
我が子がかわいいあまり、物を分けるときに、他の人の分まで取ったり、
目の前に困っている人がいるのに食べ物を与えず、我が子にあげようと
してしまったりしていた。だから餓鬼道に行ったのだよ、
と言われました。

それでも、自分を優しく育ててくれた母親を
なんとか救う方法はないでしょうか、とたずねると、
お釈迦さまは、
(旧暦)7月15日の、僧自恣(そうじし)の日、
僧自恣の日とは、お坊さんが雨期の90日間の修行を終える日
のことですが、
その日に、修行を終えた僧を集めて、食事などの供養をしなさい。
(母親は、目蓮かわいさに、他の人に施しができていなかったから、
ということのようです。)
すると、あなたの母親だけでなく、餓鬼道で苦しんでいる者みなが
救われるであろう、と言いました。

目蓮がそのようにすると、母親をはじめ、苦しんでいる人々が救われたそうです。

それ以来、旧暦7月15日は、
ご先祖を思い、供養をするということが定着していきました。

旧暦なので、今のこよみでは、8月の中旬になるわけです。
(関東などでは、そのまま7月の中旬に行われているところが多いです)

今日は、お盆の由来を紹介させていただきました。
来週も引き続き、お盆のはなしを。

2014-07-22 09:00:00

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