花の種
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
昨日は、こうしん堂の1周年でしたね。
おめでとうございます。
ますますのご発展をお祈りしています。
先週末、お坊さんの研修会に行ってきました。
坊さんにも研修会があるのです。。。修行ですね。
今回は、友人の僧侶が講師をしていたのですが、
先週、「極楽の食堂」ということで書かせてもらった
「おもいやり」について話していたので、
すこし紹介しようとおもいます。
その僧侶の友人が、
あるおうちが引っ越しをするので
仏壇にお経を上げに来てほしいと頼まれたそうです。
そのおうちに行き、お経を上げ、
若い夫婦とお話をして、帰ろうとすると、
いつも騒ぎ回っている、その家の幼稚園児ぐらいの女の子が
少しさみしそうに庭にいたそうです。
なにをしているのかよく見ると、
花の種を植えていました。
すこし話をしようと、「どうしたの」
と聞いてみると、
「お花植えてるの」と言ったそうです。
「でも、引っ越しちゃうから、お花咲くところ見れないね」
と言うと、その女の子は、
「うん。でもね、次にこの家に来る人がお花見れるでしょ」
と言ったそうです。
引っ越しをしたら友達とも会えなくなるかもしれない。
そんな自分がさみしい中でも、人のことを思いやることができる。
この女の子の話を聞かせてもらっただけでも
研修会に行った意味があったなあと思っています。
2014-06-10 09:00:00
地獄と極楽の食堂
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
昨晩テレビで、美味しそうなレストランの特集を見ました。
今日は、地獄と極楽の食堂のはなしをしてみたいとおもいます。
地獄にも、食堂があるのだそうです。
しかもそこには、地獄だというのに、テーブルにたくさんのご馳走が並べられています。
けれど、テーブルを囲んだ人々はみな、やせ細って機嫌がわるそうです。
よく見ると、みんな大変長い、箸を持っています。1メートルほどの箸です。
地獄に落ちた人々は、その箸を使ってご馳走を食べようとしますが、
箸が長すぎて食べ物を自分の口に運ぶことができません。
しかも、お互いに奪い合うので、ご馳走が箸から落ちてしまいます。
そして、「おまえのせいだ」とけんか合い、争いが絶えません。
地獄の食堂は、こんなところだといいます。
では、極楽の食堂はどうでしょうか。
なんと、こちらも設備はおなじ。
ご馳走と、1メートルほどの箸が用意されています。
なのに、こちらの食堂では、みんな仲良く楽しそうに食事をしているではありませんか。
さて、なぜだかわかりましたでしょうか。
よく見ていると、極楽の人々は、長い箸でご馳走を取ると、
自分の口に運ぶのではなく、向かいに座っている人に「どうぞ」と、
ご馳走を勧め合っています。
長い箸でお互いにご馳走を食べさせ合っているのです。
美味しいものをみんなで分け合い、笑顔であふれている。
極楽の食堂は、こんなところだといいます。
おもいやりの気持ちが、今いる場所を極楽にしていくんだという、こばなしでした。
今日も極楽の食堂で、ご飯を美味しくいただきたいものです。
2014-06-03 09:00:00
ひとにぎりの塩
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
前回に引き続き、「いいこと、わるいこと」シリーズを
もうすこし書こうとおもいます。
先週、「わるいことをやめて、いいことをしよう」
と思っても、それはなかなか難しい、
という話をしました。
今日は、「じゃあどうやっていけばいいのか」
ヒントとなりそうなエピソードを1つ紹介します。
ある時、おしゃかさまが、弟子に質問をなげかけました。
「世の中には、同じくらいわるいことをしても、
極楽(なじみのない方は天国と読みかえていただいてかまいません)
に行ける人もいれば、地獄に落ちる人もいる。それはなぜか?」
すぐに答えられる者はいなかったそうなので、
今わかった方は、おしゃかさまの弟子より上かもしれません!
おしゃかさまは、たとえ話をはじめました。
「ここに、一握りの塩がある。これを、コップの水に入れると、その水はどうなるか?」
「それは、塩からくて飲めません。」
「では、同じ一握りの塩を、ガンジス川の中に入れると、ガンジス川の水はどうなるか?」
「何も変わりません。
・・・そうか!わかりました。」
となったそうですが、お分かりになったでしょうか。
このたとえでは、塩は「わるいこと」、水は「いいこと」を表しています。
ちょっと(コップの水ほど)しか、いいことをしてなければ、
わるいこと(塩)の割合が大きすぎて、地獄に落ちてしまう。
けれど、たくさん(ガンジス川の水ほど)のいいことをしていれば、
わるいこと(塩)が少々あっても、極楽に行くことができる。
「わるいことをするな」
「いいことをしなさい」
と書きました。
両方できるのが一番いいですが、
これはやってはいけない、あれはよくないことだ、と
「わるいことをしない」よう、がんじがらめになってしまうよりは、
どうしてもわるいことだってしてしまうのが人間です。
仮に少しくらいわるいことをしたとしても、
それを補ってあまりあるくらい「いいことをたくさん」すればいいんだよ、
ということを、おしゃかさまは教えているのではないでしょうか。
2014-05-27 08:22:13
3歳の子でも・・・
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
今日は、前回紹介した「七仏通誡偈」に関連する
はなしをしてみたいとおもいます。
中国の唐の時代に、白居易(はくきょい)という詩人がいました。
彼は白楽天(はくらくてん)とも呼ばれ、当時の中国では
知らない者はいないほど、有名な詩人でした。
当時の中国では、インドから入ってきた
仏教というものが庶民の間で流行っていたそうです。
白楽天は、その仏教というものは何だと気になり、
「仏教とはいったいどんなものか」を聞こうと、
中国で有名な禅僧のもとをはるばる訪ね、
「(わしは忙しいので、)仏教をひとことで教えてくれ。」
と尋ねました。
するとその禅僧は、
「悪いことをせず、善いことをしなさい。ということだ。」
と答えました。
遠方はるばるやってきた白楽天は
禅僧の簡単な答えに怒って、
「そんなこと、3歳の子どもでも知っている。」
と吐き捨て、帰ろうとすると、禅僧はこう言いました。
「3歳の子どもでも知っているが、80歳になった老人でもそれを行うことは難しい。」
それを聞いた白楽天は、この禅僧に師事し、
出家したと言われています。
2014-05-20 07:57:00
仏教とは・・・
カテゴリ : [火]お坊さんの1分説法
おはようございます。
お坊さんの1分説法の時間です。
みなさん、仏教というと、なにか
難しい、
漢字がいっぱい、
とっつきにくい、
といったイメージがあるかもしれません。
なので、今日はまず、仏教をひとことで言った
「七仏通誡偈(しちぶつつうかいげ)」
という、たった16文字のお経を紹介しようとおもいます。
「諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教」
「しょあくまくさ しゅぜんぶぎょう じじょうごい ぜしょぶっきょう」
簡単に言うと、
「悪いことをするな。よいことをしなさい。
(そうやって)自らの心をきよめること。これが仏の教えです。」
という意味です。
日々、苦しいことや悩むことは色々とあると思います。
考えても答えが出ないときは、
ついついやってしまう悪いこと(愚痴を言ったり、人に当たったり)
をやめて、
なにか1つ、いいこと(笑顔であいさつしたり、ごみを拾ったり、なんでもいいです)
をやってみましょう。
するとどうでしょう、すこし心が洗われたような感じがしませんか?
その、ほっとする気持ちこそが、仏教なんですよ。
この、たった16文字のお経をぜひ味わってみてください。
次回は、この七仏通誡偈にまつわる、
昔の中国のはなしをしてみたいと思います。
お楽しみに・・・
2014-05-13 08:29:25